破天荒社長が倒産寸前の企業をたてなおす!?【破天荒フェニックス】

今更ですが、『破天荒フェニックス』を読みました。

メガネチェーンオンデーズの事業再生を綴ったビジネス小説で、
事業再生を手がけた社長自らが執筆しています。

人生を大きく変えるため、倒産寸前のメガネチェーン店を買収した田中。
しかし、社長就任 3 か月で銀行から「死刑宣告」が下される。
度重なる倒産の危機、裏切りに次ぐ裏切り、決死の資金繰り……。
何度も襲いかかる絶体絶命のピンチに破天荒な施策で立ち向かっていく。
実在する企業「 OWNDAYS 」の死闘の 日々を描いた、ノンストップ実話ストーリー


◆こんな話◆
・2008年から2015年にかけて、時系列に沿って物語がすすみます
・14億円の債務超過、年間2億円超の赤字企業を再生する話
・何度も資金ショート寸前になりながら、売上を何倍にも伸ばし復活します

感想

この『破天荒フェニックス』を読んでいると、企業経営の肝となる考え方がいくつも出てきました。
内容も分かりやすく噛み砕いて書いてあるので、気軽に読むことが出来ました。


オンデーズは、現在は海外にも店舗展開している有名眼鏡チェーンとなっていますが、
2008年には放漫経営により倒産寸前となっていたそうです。


倒産寸前の会社を田中社長が再生の為引き継ぎますが、
借金だらけの赤字企業のため、何度も資金ショートの窮地に陥ります。

作中で「2トントラックに1.4トンの砂利を載せて走っているようなもの」と揶揄されますが、
様々な方法で窮地を脱します。


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もう無理かな…と思っても、何度も復活する様子は、まさにフェニックスでした。

どんな改革をしたのか

倒産寸前のオンデーズをたてなおす為に、田中社長は様々な試みで会社を変えようとします。

改革前のオンデーズは様々な課題を抱えていました。
いくつか、私の印象に残っている改革をあげていきます。

経営理念は「目立ってなんぼ!」

物語の冒頭で、田中社長は就任後に「目立ってなんぼ!」という経営理念を掲げます。



能力ややる気がある従業員に、どんどん前に出てきてほしい!という社長の思いを感じました。

また、もともと田中社長は眼鏡業界のスペシャリストではないですが、
不足している知識や経験を埋めるほど、うまく従業員を使っているな、と感じました。


社長の人柄や行動により、
時間の経過とともに能力ややる気のある従業員が社長の周りに集まります。


以下の行動が士気の向上に繋がったのかなと思います。

・社長の思いを従業員へ直接伝える
・分かりやすい経営理念を掲げる
・目標を明確にする
・社長自ら呼び込みを行い、営業をやって見せる
・従業員へ権限を与える

M&Aはもろ刃の剣

売上を一気に増加させ、資金繰り懸念を払拭するために、倒産寸前の雑貨チェーンファンファンを買収します。
この一発逆転を狙った買収は、オンデーズを窮地に追い込むほどの大失敗に終わりました。

企業買収という一見華やかな物語の裏表紙には、決算書や報告書には表れてこない、複雑な人々の欲や感情、利権が、べっとりと血糊のようにこびり付いている。


失敗の理由はいくつかありましたが、
・ファンファン内に事業再生を邪魔する従業員がいたこと
・買収前の調査が不十分であり、予想したシナジー効果が無かったこと
等が主要な理由でした。


M&Aを検討する際には、
・決算書だけでは分からない、知的財産・人的資産などの企業情報を調査すること
・企業変革の際には、反対勢力への対処を適切に行うこと

が大切ということが分かりました。


競合に負けないブランド戦略

スリープライスメガネ業界で第一位の規模を誇るジェイムズが、五千円という最低価格は崩さないまま、薄型レンズの追加料金を全て無くして無料で提供することを決めたと発表したのだ。
・・・このジェイムズによる薄型レンズ追加料金0円は、オンデーズの生命線を根底から全て吹き飛ばしてしまうほどの破壊力を秘めたものであった

眼鏡チェーン業界で、圧倒的なシェアを誇る「ジェイムズ」に対抗する為に、
田中社長はブランド戦略を練り直します。


一般的にシェアを多く持つ企業は、その取引量から他社より割安で仕入が可能であり、
かつノウハウの蓄積が早い為、効率的な業務運営を行うことができます。

つまり、価格勝負になると規模の大きい会社が有利なので、
オンデーズが勝つ為には、価格以外の付加価値を訴求する必要がある。と考えます。


オンデーズのブランド戦略◆
・脱スリープライス戦略
・マルチブランド展開
・展示・仕入先の見直し

スリープライス戦略は、5,000円/7,000円/9,000円のように3つの価格帯に商品を分類することですが、
価格が分かりやすい反面、「価格」ばかりにお客さまの目線が向いてしまうので、
他社との価格競争に陥ってしまいます。


そこで、スリープライス戦略を脱し、眼鏡の商品力を高めるべく、
商品イメージごとに複数の眼鏡ブランドをつくります。


複数ブランドをつくることで、
細かいターゲティングが可能となり、新規顧客を集客することに繋がりました。


ジェイムズは、たぶんですが「JINS」のことだと思われます。

同じ眼鏡チェーンでも、会社によって戦略が違っていて面白いですね。

倒れるときは、前向きに!

作中、何度も倒産寸前に追い込まれますが、
田中社長はとにかくアグレッシブに事業展開しています。

作中でも、「倒れるときは、前向きに!」という言葉があり、印象に残っています。

資金ショート寸前にも関わらず、新規店舗を出店したり、
ガンガン海外へ進出したりと、読みながらハラハラしました。


成功している人は行動力がすごい。
以前読んだ「仕事は楽しいかね?」で出てきた、
試してみることに失敗はない」という言葉の通りだな。と思いました。
syu-tarou.hateblo.jp


また読み返したいな、と思う内容でした。