給与のデジタル払いで銀行はどうなる?
今春から給与のデジタル払いを解禁する、と政府が発表していました。
日経新聞の1面に載っていたことで、
銀行員は危機感を募らせていると思います。
私の支店でも「 預金を集めて、貸出をするというビジネスモデルが変化していくかもしれない 。という危機感を持つように。」と朝礼で喝を入れられました。
今回は、給与のデジタル払いが銀行に与える影響についてまとめます。
銀行への影響
給与のデジタル払いは、銀行の業績に悪影響を及ぼします。
理由はいくつか考えられると思いますが、思いつくものをあげてみました。
一つずつ見ていきます。
預金の減少!
給与振り込みの仕組みは、企業が従業員へ一人ずつお金を振り込むことで、給与が毎月従業員に支払われています。
企業は給与を支払うために銀行に預金を集めます。
従業員は給与を受け取る口座に、電気代や水道代等の決済機能を集中させます。
その為、銀行は給与振り込みをしてもらうことにより、多くの預金を集めることができます。
預金は銀行の核となる業務ですので、全体の収益力の低下につながると思います。
振込手数料の減少!!
企業から従業員へ給料を振り込む際には、毎回振込手数料がかかります。
1人あたり300円としても、従業員が100人いれば、
毎月3万円の手数料収入となりますから、大きな収益源です。
資金移動業者への入金に手数料がかかるかどうかはまだわかりませんが、
恐らくかからないのではないかな。と思います。
口座保有者の減少!!!
給与のデジタル払いが浸透すると、銀行口座を持つ人が減少していきます。
毎年3月ごろに、新入社員の方たちが給与受け取りの為に銀行口座を作りに来られます。忙しいときは、毎日100人くらい新規口座開設がありますので、給与受け取り口座が必要無くなれば、こういった口座開設に来られる方も自然と少なくなるのかな。と思います。
銀行員は、預金口座の保有者に対して投資信託や融資の営業を行ったり、振込等の手数料をいただいていますので、
口座保有者が減少すると、とっても厳しい状況になると思います。
銀行を守ってきた規制の緩和
なぜ今まで給与のデジタル払いが浸透してこなかったか、というと、
日本での給与支払いは現金か、銀行口座振り込みでなければいけないと法律で限定されているからです。
その為、銀行は労せずして新規顧客を獲得してきたというわけです。
今回、資金移動業者への給与払いが認められることになりましたので、
預金金利がつかない銀行よりも、ペイペイや楽天ペイで受取りたい!という給与所得者が増えてくるのではないかと思います。
企業が導入に踏み切るか
給与のデジタル払いには、セキュリティの問題等、企業が導入するのにはいくつか障壁があると思います。
企業は給与以外にも、銀行口座を取引先への振込等の資金決済に利用しているので、給与だけをデジタル払いに変更するのも手間があります。
きっと私の勤め先は銀行への振込のままだろうな。と思います。
銀行に勤めているので...
地銀再編待ったなし!!