住宅ローンの返済期間はどうやって決めるべき?

今回も、住宅ローンについての記事になります。

銀行で働いていて
よくある質問の中に、「返済期間はどうやって決めたら良いの?」という質問があります。

返済期間が長い⇒利息の総支払額が多くなる
返済期間が短い⇒利息の総支払額が少なくなる

というのが金利の仕組みです。

しかし、住宅ローンには「税制」「団信」などの制度が絡んできているので、
利息の支払いは少ない方がいいから、返済期間はできるだけ短くしておこう!というのも少し間違っていると思います。



それでは、
返済期間はどうやって決めるべきか、について銀行員の考え方をご紹介します。



前回は、住宅ローンの変動金利と固定金利についてご紹介しました。
syu-tarou.hateblo.jp

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返済期間は目一杯長くする方が良い

私が住宅ローンの相談を受けるときは、お客さまに明確な考えがない限りは返済期間は一番長くすることを勧めます。

一般的に、住宅ローンの返済期間は35年間です。
頑張ったら20年で返済できる!という人も、35年で返しましょう。

理由は、
・家計にゆとりがもてること
・住宅ローン控除の恩恵を最大限受けられること
・団信のメリットがあること

等が考えられます。
一つずつ見ていきましょう。

家計にゆとりがもてる

住宅ローンは、返済期間が長いほど月々の返済金額が少なくなります。

返済金額が少なくなれば、家計にゆとりができますので、
いざという時の貯金や、貯金を運用に回すことができます。

現在の住宅ローン金利は1%を切っていますので、それ以上の利回りで運用できれば利息分は回収できます。

また、お子様がいらっしゃる家庭であれば、
教育資金にたくさんのお金が必要になりますので、余裕資金を教育資金にとっておく方が良いです。

返済期間を短くして毎月たくさん返済すれば、利息の総支払額は少なくなりますが、
それよりも返済期間を長くして、いざというときの貯蓄をすることの方がおススメです。

例えば、教育資金が足りなくなり、教育ローンを借りようとすると2%前後の金利を払うことになります。
教育ローンやマイカーローン等は住宅ローンよりも金利が高いので、なるべく使わないに越したことはないですから。


住宅ローンより安い金利かつ長期間でお金を借りられるローンはないです。
他のローンを使うくらいなら住宅ローンを借りておきましょう。

住宅ローン控除の恩恵を最大限受けられる

住宅ローンを借りてから10年間、住宅ローンの年末残高×1%の税額控除が受けられます。

2020年12月31日の住宅ローン残高が3000万円であれば、
3000万円×1%の30万円。
つまり、30万円の既に支払っている所得税が還付されます。

住宅ローン金利が1%を切っているのであれば、絶対に使っておきたい制度です。

この制度は、10年間という期限があるので、
その期限内はなるべく住宅ローンをゆっくり返して、税額控除を多く得られるようにする方がお得です。

団信のメリットがある

住宅ローン控除が終わった後も、住宅ローンには「団体信用生命保険」が付保されています。
これを略して「団信」と呼びます。

団信とは、住宅ローンの債務者に対して掛けられる生命保険で、
通常は債務者が「死亡したとき」「高度障害」になったときに住宅ローンの残高がチャラになる。
という仕組みです。

債務者が亡くなっても、銀行がとりっぱぐれないような仕組みになっています。
死んでも借りた金を返してもらう、という銀行の執念が感じられますね...。

最近は、「死亡・高度障害」に加えて、「がん保障」や「三大疾病保障」がついています。

こういった保障が付いていますが、保険料は住宅ローンの金利に含まれているので、
住宅ローン控除のある期間は、とてもお得な保険に入っていることになります。

三人に一人ががんに罹患する時代ですが、がんも治る病気になってきています。
団信のがん保障は、がんの診断書を提出することが条件であることが多いので、
治ったとしても住宅ローンをチャラにしてくれます。

であれば、金利分は保険料だと考えてゆっくり返すのもアリなんじゃないかな。と思います。


前提①金利が低い

ゆっくり返済する方がお得だと考えられるのは、金利が低い状況だからであって、
仮に金利が高くなれば、さっさと返済してしまう方が良いです。

金利が高くなれば、
住宅ローン控除で受けられるメリットも、生活のゆとりも金利負担で消し飛んでしまいます。


前提②完済まで働き続けるor退職金で一括返済できる

返済期間を長くすることをおススメできない人は、
完済まで仕事を続けない、かつ退職金等で一括返済できない人です。



40歳ごろに住宅ローンを組み始めて、35年後には75歳になります。
65歳で仕事を終えて、一括返済できずに住宅ローンが残ってしまうと大変ですよね。


年金で返済できるから大丈夫!と思われるかもしれませんが、
これから年金は少なくなることが目に見えています。

現時点の年金額でも、年金で住宅ローンを返していて生活が困窮している人を何人も見てきました。

そういった人を見るたびに、銀行員が正しい知識で返済計画を考えてあげないといけないな。と思います。




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