両利きの組織をつくる【読書メモ】

中小企業診断士の実務補習中ですが、かなり煮詰まった状態になったので参考になりそうな書籍を読んでみました。

現在、実務補習に協力してくれているA社の現状は、

  • コロナの影響で売上が大きく減少している
  • 既存のビジネスモデルが成立しなくなっている
  • 新規事業への取組みがなされていない


という状況で、赤字が拡大して債務超過寸前となっています。
まさに危機的な状況といえますが、昨年までは代表者が数千万円の報酬を取れるほど稼ぐ力のある会社でした。

企業にはライフステージがあり、
どんな企業も導入期・成長期・成熟期・衰退期を通ることになります。


衰退しないためには、外部環境の変化に合わせて新規事業の開発を行っていく必要があります。

なぜ新規事業を開発することが難しいのか、
A社が現在の状況を打破するためにはどうしたら良いのか、

ヒントを得るために本書を読んでいます。

破壊(ディスラプション)の時代を生き抜く方法
5年間で劇的な変貌を遂げたAGC(旧旭硝子)の事例を軸に、
「両利きの経営」を提唱した世界的な経営学者と
日本企業の組織力学を熟知した変革支援者が語る、組織進化の理論と実践。

●成熟企業の重要課題「既存事業と新規事業の両立」の実現法
●注目の経営理論「両利きの経営」の実行に焦点を当てた初の本
●両利きの経営のカギ「組織カルチャー」の変革を理論的かつ実践的に解説
AGCでの実践事例を経営陣へのデプス・インタビューに基づき詳解

第1章 いま必要な組織経営論
第2章 AGC、変革への挑戦――戦略と組織を一体として変える
第3章 両利きの経営――成熟企業の生き残り戦略
第4章 組織はどのようにして変わるのか――アラインメントの再構築
第5章 組織開発の本質――トップダウンボトムアップの相互作用を作り出す
第6章 脱皮できない蛇は死ぬ――日本企業のための組織進化論

印象に残った言葉

「成功してきた組織には、慣性の力が働くという運命がある」

一度成功したやり方があると、そのやり方で仕事をすることに精一杯になります。
最適化された業務プロセスができあがってしまうと、そのやり方を変えることができなくなってしまう。

大企業病」や「成功の罠」と呼ぶそうです。

「 脱皮できない蛇は滅びる。意見を脱皮してゆくことを妨げられた精神も同じことである。」

ニーチェの言葉ですが、初めて聞いたものでした。
企業も同じように、事業環境の変化に適応できなければ衰退してしまいます。

AGCや、富士フィルムソニーなどの企業はうまく事業環境の変化に適応し、多角化に成功しています。

「普通の教師はしゃべる。少しましな教師は教えようとする。優れた教師は自分でやってみせる。偉大な教師は人の心に灯をともす。」

アメリカの教育学者ウィリアム・アーサー・ウォードの言葉だそうです。
この言葉に影響を受けたAGCのCEOが「人の心に灯をともすリーダー」になりなさい。
と、全社員に伝えたそうです。


感想

新規事業を推進するための考え方はよくわかりましたが、
大企業をモデルとしたビジネス書だったので、中小企業に落とし込むにはもう少し熟読が必要となりそうです。

中小企業で5年後を見据えた計画を作っている会社はあまりなく、
行き当たりばったりな経営となっている会社がほとんどだと感じています。

そういった中小企業に、適切なアドバイスができるように引き続き精進していきたいと思います。